「……先進国の国民は、なんとひどい食事をしていたのか!」
その5000ページに及ぶ報告書は、嘆きと後悔に満たされていた。
1997年、7年かけて発表された米国上院栄養問題特別委員会の報告書。それは、「食事と健康」に関する史上空前の調査リポートでした。
民主党カーター政権下、この調査の指揮を執ったのはマクガバン上院議員、そこで、彼の名前を冠して「マクガバン報告(略称:M報告)と呼ばれる。
そこには「栄養」と「健康」に関する世界中の研究、論文、文献などが徹底的網羅されていました。まさに、人類史上初の調査リポートでした。
しかし……超大国アメリカが、威信をかけて作成した膨大な報告書は、アメリカ政府の期待を真っ向から裏切るものでした。
まさに、それはアメリカの威信と誇りを、根底から打ち砕く内容だった。
同委員会のメンバーの一人、ロバート・ケネディ議員は、報告書でこう述べている。
「……われわれは、まったく馬鹿だった。開き盲だった」
まさに報告書は、悲惨な感想と後悔に満たされていた。
「……先進国の食事は、まったく不自然でひどい食事になっていた。そのことに、だれ一人気づかなかった。しかも、このような内容の食事が、先進国に多いガンも心臓病も糖尿病も生んでいた。われわれは、即刻、食事を改めなければならない」
「マクガバン報告」を解説する好著があります。
それが『いまの食生活では早死にする 自分の健康を守るための指針』(今村光一)
「……わたしは、リポートを読み進んでいくうちに、先進国は、逆に“病気”先進国である、という思いを強くした。痔、盲腸炎、大腸ガン、糖尿病、胆石……これらは、われわれ日本人をふくめ、先進国なら、みんな知っている病気だった。しかし、この病気がアフリカには、まったくないのだ」(今村氏)
その他、先進国に多くある病気が、アフリカにはない。
「……この事実を知ったとき、わたしは『先進国の食事は、われわれが気づかないうちに非常にアンバランスで内容の不健康な食事になってしまった。食事の悪さが、病気多発の原因だった』という同リポートが、なぜ米国民のあいだにショックをもたらしたかわかった」(同)
――文明国の食事は、間違っていた――
これが、アメリカ上院委員会の(M委)の結論です。
「……このままでは、先進国は、食源病で滅びる」(M委)
委員たちは「ガン、心臓病、脳卒中が、なぜ先進国だけに異常に多いのか?」というナゾを解明した。原因は、先進国の日々の食事にあった……。
つまり、これらはすべて“食源病”だった。心臓病の最大の原因は動物脂肪のとりすぎだ。
さすがに、これくらいは知識として知られている。
「……しかし、多くのガンも脂肪のとりすぎで起こる。栄養が足りすぎた“多すぎるたんぱく質”は、ガンや動脈硬化を促進する要素になる。その他、現代先進国を病気の先進国にしている数十種類の病気は、みんな先進的な食事が生む“食源病”だった。このこともM委は明らかにした」(今村氏)
からは言う。「現代は“食源病”時代だ!」
M委のメンバーたちを嘆かせた欧米食の二大要素が、多量の動物食と白砂糖だ。
しかし、20世紀初頭の欧米は、そうではなかった。
ところが半世紀余りで、動物食品が激増し、砂糖消費が急増しているのだ。
これを欧米諸国のひとびとは「食生活が“豊か”になった」と信じていた。
しかし、実際は、“貧しく”“危険”になっていたのです。
「……先進国は、日本も含め、例外なしに、心臓病、脳卒中、ガンが三大死因になっている。また、糖尿病はアメリカに500万人いるといわれ、日本でも潜在患者を入れれば、200万人いると推定されている。だが、数十年前の諸国は、こんな国ではなかった。だから、これら病気は、20世紀後半に生まれた“20世紀病”であり、“食源病”といえる」(今村氏)
この記事が書かれた1980年当時でも、それは危険レベルに達していた。
それから、40年以上たった現在、事態はさらに悪化して、糖尿病の潜在患者を含めた数は十倍に達しています。
なぜか……?
それは、この5000ページ余の公式「報告書」が、圧殺されたからです。
まさに、そこには農薬、食品、医療、メディアの四代業界にとって“不都合な真実”が溢れていたからです。
“闇の権力”の傘下にある、これらの業界は、攻撃の矛先をマクガバン上院議員に向けた。
「マクガバンを落とせ!」
猛烈なアンチ・キャンペーンが全米で嵐のように吹き荒れた。民主党の有力な次期大統領候補は、落選の憂き目に遭い政治生命を断たれました。
マクガバン報告自体も、悲劇の道筋を辿る。
M委の国民への呼びかけは、実にシンプルでした。
「アメリカ国民よ、20世紀初頭の食生活に戻ろう!」
当時のアメリカ人は、現代より健康で、生き生きとしていた。
「『現代欧米諸国の食事は、悪い食事だ』――これは、各国が一致して出している結論である。欧米的な食生活からの脱皮を、われわれも急がねばならない」(今村氏)
具体的には、これまで“豊かな”食事と勘違いしてきた欧米食を改めることです。
M委推奨の新たな「食」のガイドラインとは――。
まず、6代目標として
①でんぷん質を現在カロリーの46%から55%~60%に。
②脂肪分は、現在カロリーの約40%から30%に減らす。
③動物油はカロリー10%、植物油は20%と一対二に。
④コレステロール摂取は、一日200mgまで減らすこと。
⑤砂糖消費40%減らす。カロリーの15%以下にする。
⑥塩摂取も50~85%減らして一日5gまでにする。
さらに、この目標達成のため、7つの方法も示しています。
このガイドラインを、分かりやすくしてみます。
つまりは以下の“5高食品”をシフトすることです。
――①高カロリー、②高たんぱく、③高脂肪、④高精白、⑤高砂糖を、減らす。
これを“5低食品”にする。
そして、穀物、野菜、果物を増やす。
つまり、食肉、牛乳など動物食(アニマルフード)や砂糖を減らし、植物性(プラントフード)を大幅に増やす。
あっさり言ってしまえば、「食べる量を半分に!」「菜食にシフトせよ!」
「……動物食を減らすだけでは不十分。段階的に全廃し、完全菜食(ヴィーガン)を最終目標にすべきだ」(ハーシャフト博士)
■全ガンに動物食品が関連する:ヴィーガンのガン死亡率は極めて低い。
■痛風、骨粗しょう症等を防ぐ:その他の病気も、ヴィーガンは少ない。
■菜食者の方が健康・長寿だ:多くの動物実験が効果を証明している。
さらに博士は証言する。
「……第一次大戦中、デンマークで肉輸入が禁止された。すると国民の死亡率は12・5%から10・4%に低下した」
まず、マクガバン報告が掲げる6代目標を、全国民が実践すると、どうなるか。
どれだけ健康効果が得られるでしょう?
――M報告は、素晴らしい結果を予測しています。
①ガン:発生も死亡も約20%減少する。
②心臓病:患者も死亡も25%減らせる。
③糖尿病:患者も死亡率も共に50%減。
「ギリシアの医聖ヒポクラテスの言葉が、今いよいよ真実味をもつ時代になっている。医聖は『食べ物を汝の医者と医薬にせよ』と説いた。さらに『食べ物で治せない病は、医者もこれを治せない』と言ったのだ」(今村氏)
①~③は、「食」改善効果の“入口”に過ぎない。
理想のヴィーガン食にすれば、さらに効果は劇的に向上する。
「心臓病は99%減らせる。糖尿病は100%予防できる。すでに患っている人でも80%は完治できる」(プリティキン博士、カルフォルニア長寿研究所所長)
ポイントは植物繊維とでんぷん食です。かつてアフリカは糖尿病が皆無でした。
彼らはたっぷりの食物繊維とでんぷんを摂っていたからです。
食を変えれば、人生が変わる。
そのドラマティックな実例も、M報告は満載しています。
例えば80代の老女。心臓病発作でほぼ寝たきり。バイパス手術が予定されていた。そんな重病人が食事改善で劇的に蘇った。今では一日15マイルのジョギング。市内の高齢者オリンピックで4回も優勝。奇跡を起こしたのが、カルフォルニア長寿研究所(LRC)です。
……この報告書は、M委の委員会や専門家たちを驚かせた。彼らは“信じがたい奇跡”とまで言った。LRCには、動脈硬化により心臓病の人たちを中心に、食事と運動の指導を行っています。ほかにも高血圧、糖尿病、痛風など多くの病人を抱えています。
LRCのリハビリ指導はシンプルです。菜食と運動です。
食事はカロリー80%がでんぷん質。たんぱく質と脂肪は、各々10%。パンは全麦パン(日本なら玄米食)かつてのアフリカ先住民の食事に近い。
それだけで劇的効果を上げています。
■ほぼ歩行不能の患者は、6か月後、一万フィートも歩けた。
■骨盤動脈80%も狭窄の患者は狭窄率が25%に改善。
■その他、狭心痛、痛風、高血圧、糖尿病などすべて改善
あげていればキリがない。
詳しくは『いまの食生活では早死にする』をぜひ一読して欲しい。
どうして、マクガバン報告が嘆いたように欧米諸国の食事は、惨憺たる間違いを犯したのでしょうか?
今村氏は、まず医者の栄養学に対する無知を挙げる。
それはM委でも指摘されています。
「……米国の医大で、栄養学コースを必須科目にしている大学はわずか4%しかない。アメリカの4分の1から2分の1の病院では、入院患者に間違った食事を与えている。そのため、病気が治らなくなったり、治りが遅れているケースが多い。動物たんぱく質をはじめ、たんぱく質を与え過ぎて病気を治らなくしている。さらに回復を遅らせている。そんなケースが多い。とくに、動物性たんぱく質の重要性をあまりに強調し過ぎたのが、これまでの栄養学だった」(M報告)
さらに、反省は続く――。
「……栄養のことを無視した医学とは、考えてみれば、まことに奇妙な医学である。なぜなら、毎日とる食事こそが体を作る。食事以外に体を作るものはない。その食事が体に影響を与えないはずはない。そんな単純至極なことを、現代医学は忘れていた。M委も指摘している。『先進国の医者も栄養学者も、誰もが本当に単純なことに気づかなかった。『医者の再教育が必要だ』ともM委は主張している」(今村氏)
マクガバン報告は、「医者に栄養学を学ばせよ」と結論づけています。
しかし、残念なことに、そこに近代栄養学を歪めたフォイト栄養学の致命的な誤謬についての議論はない。そこが、同報告書の物足りなさではある。
しかし、M報告で、高く評価すべき点もある。
5000ページもの報告書は全編、近代化された欧米食の過ちへの悔恨が綴られているが、一つの救いは次のくだりです。
「……人類は、すでに理想の食事に到達している。それは、日本の伝統食である」
つまり、先進国であった欧米人が、後進国であったはずの日本の伝統食(和食)を最高に評価しているのです。
それは、米が精白される江戸の元禄以前の日本の菜食です。
しかし、このM報告書は、食料と医療の利権を牛耳るディープステートによって歴史の闇に葬られた。だから、ほとんどの人が、その存在すら知らない。
政府、テレビ、新聞、メディアが一斉に黙殺したからです。
それは、“かれら”がとっくに“闇の権力”によって完全制圧されていることの証です。これは昨今のコロナ禍、ワクチン地獄にも言えます。
約200年に渡ったフォイト栄養学による肉食“洗脳”も人口削減の一環です。
目覚めた人たちは、誤った「食」による“洗脳”にも気づき始めています。
人類を殺す。それは戦場でなくとも殺せる。病院で殺せる。食事で殺せる。
だから、悪魔勢力は病院や食卓を、“殺戮の場”へ変えたのです。
近代の欧米食は、まさに巧妙な餌付けによる大量殺戮の“兵器”だった。
それを暴いたのがゲルソン博士、森下博士であり、マクガバン報告なのです。
だからこそ――日本食こそ、人類が到達した理想食――と言う一文は、一条の“光”として未来を指し示す。
残念ながらマクガバン報告は“闇”勢力によって圧殺された。
しかし、この偉業を永遠に葬ることはできない。
知識人、ジャーナリストなどにより、この功績は広く、世界に伝播されているのです。
欧米のインテリ、セレブ層では、もはや和食は、当たり前の日常風景です。
それも、マクガバン報告が現代に遺した貴重な遺産なのです。
『いまの食生活では早死にする: 自分の健康を守るための指針』 今村 光一
『ヴィーガン革命』 船瀬俊介
明らかにされた食原病
創造的な人生を歩む
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