フンザ

菜食・少食・筋トレ

創造的な人生を歩む

天寿150歳・健康寿命120歳

世界中の長寿郷に学ぶ 健康寿命120歳説

世界一の長寿研究の森下敬一博士が踏破したのは5つの地域。
(1) 旧ソ連「コーカサス」
(2) パキスタン「フンザ」
(3) 南米エクアドル「ビルカバンバ」
(4) 中国北西部「新彊ウイグル」
(5) 中国広西「巴馬(パーマ)」
これが世界の五大長寿郷。100歳を超える長寿者の割合が日本の何十倍にものぼる地域。
100歳を超えて、田畑を耕し、いきいきと人生を謳歌し、寝たきりや要介護のお年寄りなど存在しません。
上が150歳代なので森下博士は人間の天寿を150歳と考え、我々でも120歳くらいまでは、健康に生きられる根拠を示しています。百寿者に共通するライフスタイルは以下。
①菜食(肉食者はいない)
②少食・粗食(大食漢は皆無)
③筋トレ(よく働き、筋肉を使う)
これが世界一のアンチ・エンジング(抗齢学)の極意であるのです。結論は、あっけなくシンプルですが、実行している人が本当に少ない真実なのです。これは反栄養学的真実であり、現代栄養学の影響を受けた学者・医者のすべてが脱落している事実なのです。逆に言えば、これを知らないと長生きさせられません。
長寿郷では自給自足がほとんどで、食べ物を買うと言う発想がないので、必然的に穀物・菜食になり、冬場は野菜すら限られるファスティング状態。新彊ウイグルなど「ナンと茶」しか食されない粗食。日本で言えば、「玄米に漬物、味噌汁のみ」と言う食生活。ここで現代日本と決定的に違うのは、小麦・雑穀などの「全粒穀物」しか食されないと言うことと、「自然塩」を食していると言うここと。それがナンには5gも入ってる。それを三食食べれば15gにもなります。塩がいかに大事か教えられます。

1920年、インド国立栄養研究所に英国からR・マッカリソン博士が所長として赴任します。「不老長寿郷のフンザ」の話を聞き、現地を調査。
博士は、フンザの畑でかいがいしく働く老人たちの多くが100歳以上と知って驚愕します。どう見ても、50から60歳代にしか見えなかったのです。博士は長寿者の家々を一軒ずつ回って、その食生活を丹念に調査しました。森下博士が行った手法です。博士は驚愕体験の謎を解明するために、以下の実験を行いました。マウスをA, B, C群に分けて経過観察。
A群フンザ食:チャパティ(雑穀パン)、もやし、生人参、生キャベツ、殺菌されていない生牛乳。
B群インド食:米、豆類、野菜、肉類などを調味料を使い料理したもの。
C群西洋食:白パン、バター、ミルク、砂糖入り紅茶、野菜の煮つけ、ハム、ソーセージ、ジャムなど。
生後すぐのマウスから開始され、27か月続行されました。これは人間の寿命に換算して50歳までに相当。
A群フンザ食:マウスは、ただの一匹も、ただの一か所も、病的変化は観察されず、100%完璧な健康状態だった。
B群インド食:マウスの約半数に、脱毛症、う蝕症(虫歯)、肝炎、腎炎などの病変が発病していた。
C群西洋食:マウス全匹に、例外なく、各種各様の病変が検出された。またこの西洋食群では、身体的病変の他、精神異常もみられ、共食い現象を引き起こした。
「このマウス実験結果は、そのまま、そっくり現代人間社会の病態生理現象として適用します。肉食栄養学を完成させた欧米、とくに大量肉食の米国では、肉食によるガンや血管・心臓病などの慢性病のほかに、多発する肉食性精神病にも悩まされています」(森下博士)
森下博士の調査では、フンザは主食であるチャパティの他、副食は野菜100%のヴィーガンであることが明らかになっています。冬場は天日干し乾燥の野菜。塩は岩塩。砂糖はなし。

長寿郷では、主食は雑穀、トウモロコシ、いもなどに、副食は野菜と発酵食品が食べられていますが、食物が発酵しないコーカサスのグルジアでは、その代わりマツォーニと言うヨーグルトが食べられています。
人間の歯並びとして、臼歯:門歯:犬歯の比率は、5:2:1です。これに従えば、穀物5:野菜・果物2:動物食1の割合で食べるのが理想的となります(62.5%・25%・12.5%)。これも長寿研究と符合します。
日本には、醤油、味噌、納豆、ぬか漬け、三年番茶などの発酵食品が豊富であり、丸ごとの小魚からヴィーガンに不足するオメガ3(巴馬では麻の実オイル)とビタミンB12(ヴィーガンは土中バクテリア)を補うことができます。雑穀がよく食べられているので、森下博士は玄米炊飯に雑穀を多く入れることを推奨しています。また野草も多く食べられているので、野草味を取り入れた菜食も推奨しています。よもぎやミョウガなどがそうです。
イスラム圏ではラマダン(断食期間)が健康に良いし、長寿郷では、自家製のたばこやワインが消費されており、適度にやる分には、まったくない問題ない、むしろ心身に良いと言う結論です。そして、女好きな人も多く、何度も結婚しています。

長寿の理由について尋ねると、例外なく「仕事が好き」と答え、100歳まで木登り農作業当たり前で、大方の長寿者は、50、60歳は青年期だと信じていて、20代に戻してもらうより今の人生の方が良い、とまで言い切っています。
人口比率で、アメリカには100歳以上が日本の約2倍もいます。アメリカではインテリ層が1割いて、その人たちの中に長寿者がいるのです。食文化を保持し戦中を生きた人たちがいなくなれば、日本も短命化必至ですが、こうした健康の知識を持っていれば、日本でも同じように百寿者になることができるのです。

『ブルーゾーン』のセンテナリアン

『ブルーゾーン』

雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』が調査し発見したセンテナリアン(百歳人)の多いエリアは、以下の五つの地域。
(1)イタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方
(2) 日本の沖縄
(3) アメリカ・カルフォルニア州のロマリンダ
(4) 中米コスタリカのニコジャ半島
(5) ギリシャのイカリア島
地球上の戸籍がある地域に関する調査である。

まず、イタリア・サルデーニャ島のセンテナリアンの食生活だが、全粒穀物のパンが主食。野菜はズッキーニ、トマト、ポテト、ナス、ソラマメなど。ミネストローネの野菜スープがよく作られる。ハーブ類も少し使う。これが大打撃を与えたアメリカの食文化が浸透する以前の典型的な伝統食であり、粗食の部類だ。
羊のミルクであるペコリーノ・チーズは文化としての特徴であるが、豊かな者だけのメニューであり、それほど食べられていない。パスタも豊かな家庭だけ。肉は週に一回、日曜日だけ。多くの地域では、ぜいたく品で、お祭り時だけにしか口にできない。地中海文化圏のなかでは異例のことだが、食事メニューのなかに、ほとんど魚が入ってこない。そして、夕食時のワインは、毎日のように少し飲まれている。
森下博士の研究から考えれば、この動物性割合の低さと全粒穀物の常食が、最も注目される。

次に沖縄。沖縄のセンテナリアンはヴィーガンと言って良い。イモが主食であり、多くは農作業が好きなベテラン農家。栄養学者が豚肉が長寿の源であるかのような憶測を言って、テレビがウソを垂れ流しているが、沖縄では昔から年に一度、旧正月の祝いで、豚を潰して食べるだけ。沖縄は米軍食の蔓延とテレビのウソで、もはやセンテナリアンが、ほぼヴィーガンだったことも、忘れ去られている。二度と長寿日本一になることはない。
良い時でも、食べられるのはイモだけで、朝も昼も夜もイモばかり。アワ、コメ、オオムギも栽培していたが、岩がちな土地だから収量が多くない。
1605年慶長年間に、野国総官という人物が中国からサツマイモを持ち帰り、沖縄の食糧事情はいくぶんか改善されたという。
野菜のチャンプルーは、ちょっと豆腐を加えるだけ。小魚はわずかしか食べない。ダイコン、ゴーヤ、ニンニク、タマネギ、トウガラシ、トマトなどが畑で栽培される。一日中熱いお茶を飲む。食事の前には、必ず『腹八分』と唱えて、あまりたくさん食べない。
「美しさは、内面的なものだ……ものごとを、あまりくよくよ考えてはいけない。ほかの人の面倒をみることが、自分のためになる」
「自分で作った野菜を食べること、自分の将来に希望を持つこと。他人に親切にすること。笑顔を絶やさないこと」
が、長寿の秘訣だと話す。

様々な長寿地域がある中でロサンゼルスのロマリンダだけ大都会だ。9000人ほどのセブンスデー・アドベンティスト教会の信者がおり、このコミュニティが、アメリカ中で最も平均寿命が長い。
聖書の教えから、豚肉のような不浄なものは避けよ等の教えを忠実に守っており、肉を食べることはすすめない。こってりした食べ物を避けている。たばこもアルコール飲料も避けている。カフェインを含む飲料、刺激性のある薬味、スパイスも認めない。
ロマリンダ大学の研究者はこう言っている。
「もし、アドベンティストがベジタリアンであれば、男性は9.5年、女性なら6.1年も長生きします。それは驚くべきことではありません。アメリカ人の3分の2は、心臓疾患かガンで死亡しているのですが、アドベンティストたちは、心臓疾患や種々のガンに罹らないよう、自分たちで様々な予防措置を講じているからです」
研究者は、重要なことは、肉をあまり食べないこと、スナックではなくナッツを習慣的に食べている人が長生きであること。そして運動の重要性などを語っている。
肉は制限されているが、卵と乳製品を食べる欧米型のベジタリアンが多く、ヴィーガンは全体の4%であった。全粒穀物を常食している。

ニコジャは、他の地域のセンテナリアンに比べて、頭が冴えており、動きも活発だという。沖縄と同様に勤労意欲も盛ん。よく笑う。男性はセックスに対して、かなりリベラルな考えを持っているので、生涯において、何人もパートナーを持っている。
マメ、コメ、トウモロコシから作るトルティージャ、くだものがよく食べられている。年に一回牛を殺して食べ、自家消費用の豚を飼っているが、食べるのは月に数回に過ぎない。
サルディーニャは、敬虔なカトリックであり、沖縄が先祖の霊が自分たちを見守っていてくれてると信じ、感謝を忘れない。ニコジャも信仰の力が強く作用していると考えられる。

イカリア島は、オリーブオイルと野菜が豊富で、全粒穀物のパンが主食。肉はほとんど食べない。ヤギのミルクを少し飲む。ワインは毎日飲む。地中海式食事法の一種。魚を食べることはあまりない。
お茶として、ワイルドマジョラム、セージ、ミントを少し入れて飲む。オリーブの葉の煎じ液、ローズマリー、タンポポの葉を煮だしてレモンを少し入れるお茶もある。コーヒーも飲まれている。お年寄りは、一日の始まりに、スプーン一杯のハチミツを、薬のように飲んでいる。
シエスタと言う昼寝の習慣も長寿に影響している。
イカリア島の人々は、90歳に到達する人が異常に多いだけでなく、がんなどの一般的な病気に罹るまでの期間も5年から10年ほど長く、認知症の羅漢率が極めて少ない。
熱心なギリシャ正教徒であり、宗教カレンダーの1年の半分近くが断食となっている。

通常、肉を食べる人をベジタリアンと定義しないが、サルデーニャ島とニコジャの肉食の地域でのセンテナリアンの動物性の割合の低さを考えれば、ベジタリンと同じだと言える。欧米型のベジタリアンであっても、卵・乳製品、そして砂糖(黒糖、ハチミツ等)の取り過ぎは、健康なベジタリアンだとは、決して言えないのである。
『ブルーゾーン』を読んでも、「菜食・少食・筋トレ」が最強のアンチ・エイジングであり、健康・長寿の秘訣であることは変わらない。


<参考文献リンク>
『世界中の長寿郷に学ぶ 健康寿命120歳説』 船瀬 俊介
『世界の長寿食: 100歳元気老人徹底調査』 森下敬一
『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition』 ダン・ビュイトナー

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